資産運用会社の外国株式ファンドで、ベンチマークとして頻繁に登場するのがMSCIの株式指数である。
MSCI World、MSCI Kokusai、MSCI ACWI、MSCI Emerging Marketsなど名称は多いが、これらは独立した指数がばらばらに存在しているわけではない。MSCIは世界の株式市場を地域、国・地域、企業規模などに分解し、共通したルールで組み合わせられる大きな指数体系を構築している。
また、MSCI Worldは「World」という名称でありながら米国株の比率が非常に高い。指数への採用も単純に時価総額だけで決まるわけではなく、流動性や外国人投資家の投資可能性などが考慮される。
本記事では、資産運用実務でよく利用されるMSCIの株式ベンチマークについて、その体系と指数構築の考え方を整理する。
1.MSCIとは何か
MSCIの現在の正式社名はMSCI Inc.である。
MSCIは国際株式指数の提供から発展した会社で、1969年から国際株式ベンチマークを提供してきた。2007年に上場し、2009年にはMorgan Stanleyから完全に独立した会社となった。
かつてMorgan Stanleyとの関係から「Morgan Stanley Capital International」という名称が使われていたが、現在はMSCIを社名・ブランドとして使用している。そのため、現在のMSCIを単純に「Morgan Stanley Capital Internationalの略称」と説明するのは正確ではない。
MSCIは株式指数だけでなく、債券指数、リスク分析、サステナビリティ関連データ、プライベート資産データなども提供している。ただし、資産運用実務で「MSCI」と聞いた場合、まずグローバル株式指数を連想することが多い。
MSCIの株式指数は世界の資産運用実務で広く利用されている。MSCIによれば、2025年末時点でMSCI株式指数をベンチマークとする資産などは約21兆ドルに達する。また、世界上位100の年金基金のうち94、上位100の運用会社のうち98がMSCIのサービスを利用している。
ここでいう約21兆ドルは、MSCI指数へ機械的に連動するパッシブ運用だけを意味するものではない。MSCI指数をベンチマークとして利用するアクティブ運用やインデックス運用に加え、先物・オプションの想定元本なども含むMSCIの推計値である。
なぜMSCIはこれほど広く使われているのか
MSCIがグローバル株式ベンチマークとして広く使われている背景には、指数そのものの設計だけでなく、長期間にわたって形成されてきたブランド力と業界内での標準性がある。
年金基金などの機関投資家がMSCIをベンチマークとして採用すれば、その資産を受託する運用会社もMSCIを基準として運用成績を管理することになる。投資コンサルタント、データベンダー、ファンド評価などでも同じ指数が広く利用されていれば、既存の運用・評価体制との整合性を保ちやすい。
こうした利用の広がりには、いわばネットワーク効果のような側面がある。
加えて、MSCIは世界、先進国、新興国、地域、国・地域、企業規模、セクターなどを共通した体系で切り分けられる。単に有名な指数が一つあるのではなく、機関投資家のさまざまな運用マンデートに対応できる指数体系そのものが大きな強みになっている。
一方で、MSCIだけが選択肢ではない。
インデックスファンドやETFでは指数提供会社へライセンス料を支払うため、運用会社にとってベンチマークの利用コストも無視できない。類似した市場エクスポージャーを持つ別の指数へ変更し、指数ライセンス料や運用コストを抑えようとする例もある。
例えばVanguardは2010年代前半に、一部の米国株指数をMSCIからCRSPへ、国際株指数をMSCIからFTSEへ変更している。指数変更ではライセンス料だけでなく、リバランス方法などの違いによる取引コストも考慮される。
したがって、MSCIには強いブランド力と業界標準としての地位がある一方、特にコスト競争の激しいインデックス運用では、他社指数を採用する動きも存在する。
2.MSCI指数は世界の株式市場を分解する体系
MSCIの代表的な株式指数は、地域や市場を段階的に切り分けられる構造になっている。
全体像を単純化すると、MSCI ACWIの中に先進国のMSCI Worldと新興国のMSCI Emerging Marketsがあり、さらに地域別、国・地域別の指数へ分解できる。
| 指数 | 主な対象 |
|---|---|
| MSCI ACWI | 先進国+新興国 |
| MSCI World | 先進国 |
| MSCI Emerging Markets | 新興国 |
| MSCI Kokusai | 日本を除く先進国 |
| MSCI USA | 米国 |
| MSCI Japan | 日本 |
| MSCI Europe | 欧州の先進国市場 |
| MSCI Pacific | 太平洋地域の先進国・地域市場。日本を含む |
MSCI ACWIは先進国と新興国を含む株式指数で、そのうち先進国部分にあたるのがMSCI World、新興国部分にあたるのがMSCI Emerging Marketsである。
MSCI WorldはさらにMSCI North America、MSCI Europe、MSCI Pacificなどの地域指数へ分けることができ、その下にはMSCI USA、MSCI Japanなどの国・地域別指数がある。
つまりMSCIは、単に「MSCI Worldという有名な指数を提供している会社」というより、世界の株式市場を共通ルールで分解・再構成できるベンチマーク体系を提供していると考えた方が実態に近い。
この構造は、複数の運用会社へ資産を委託する機関投資家にとっても使いやすい。外国株式全体、新興国株式、米国株式、小型株式など、それぞれの運用マンデートに対応するベンチマークを同じ体系の中から設定できるためである。
セクターや業種でも分解できる
MSCIの指数体系は地域や企業規模だけに限られない。
GICS(Global Industry Classification Standard)による業種分類を利用し、特定のセクターや業種だけを対象とする指数も存在する。
例えば、
MSCI World → 先進国の大型・中型株
MSCI World Information Technology → 情報技術セクター
MSCI World Semiconductors & Semiconductor Equipment Index → 情報技術セクターのうち、半導体・半導体製造装置のIndustry Group
といった形で切り分けることができる。
実際にMSCI World Semiconductors & Semiconductor Equipment Indexが存在し、2026年9月末時点では37銘柄で構成されている。NVIDIA、Broadcom、Micron Technology、AMD、ASMLなどが主要構成銘柄となっている。
GICSそのものの詳細は別テーマになるが、MSCIが地域やサイズだけでなく、セクター・業種まで同じ体系の中で分解できることは、指数体系を理解するうえで重要である。
3.MSCI KokusaiとMSCI World ex Japanは同じ指数
日本の資産運用業界では、外国株式ベンチマークとしてMSCI Kokusai Indexをよく目にする。
MSCI Kokusaiは、日本を除く先進国株式を対象とした指数である。
なお、MSCI KokusaiとMSCI World ex Japanは別の指数ではない。
MSCI自身が、MSCI Kokusai Indexを「MSCI World ex Japan Indexとも呼ばれる」と説明している。2026年9月末時点では、日本を除く先進国の大型・中型株1,082銘柄で構成されている。
したがって、
MSCI World =先進国
MSCI Kokusai =MSCI Worldから日本を除いたもの
という関係になる。
一方、MSCI ACWI ex Japanは別物である。こちらは日本を除く先進国だけでなく、新興国も含む。
2026年9月末時点では、22の先進国市場と24の新興国市場、合計2,247銘柄で構成されている。
名称が似ているため注意が必要である。
4.通常のMSCI Worldは大型株+中型株
MSCI Worldという名称から、先進国の上場株式をすべて組み入れた指数を想像するかもしれない。
実際にはそうではない。
通常のMSCI WorldはLarge CapとMid Cap、つまり大型株と中型株から構成されるStandard Indexである。
MSCIは、各市場の浮動株調整後時価総額のおよそ85%をLarge+MidでカバーするようStandard Indexを構築している。
MSCI Worldも同様で、2026年9月末時点では23の先進国市場の大型・中型株1,249銘柄で構成されている。
IMIなら小型株まで含まれる
より広い範囲を対象とするのがIMI(Investable Market Index)である。
関係を単純化すると、
Standard =Large+Mid
IMI =Large+Mid+Small
となる。
そのため、MSCI WorldとMSCI World IMIは対象地域こそ同じ先進国だが、後者には小型株まで含まれる。
なお、「MSCIという名称しかなければすべてStandard」という意味ではない。MSCIにはValue、Growth、Quality、Minimum Volatility、ESGなど多数の派生指数が存在する。
あくまでMSCI World、MSCI Japan、MSCI USAなど、代表的な国・地域別の時価総額指数について、通常の指数がLarge+Midを対象としていると理解すると分かりやすい。
5.なぜStandard Indexは約85%をカバーするのか
MSCIでは、市場全体をLarge、Mid、Smallなどのサイズ区分に分け、そのうちLarge+Midで各市場の浮動株調整後時価総額のおおむね85%をカバーするStandard Indexを構築している。
残るSmall Capを加えたものがIMIである。
この85%という水準は、単純に「流動性の低い小型株を除くため」という意味ではない。
MSCIでは、まず指数へ採用可能な銘柄について投資可能性に関するスクリーニングを行い、そのうえで市場をLarge、Mid、Smallなどのサイズ区分に分けている。
流動性についても、サイズ区分とは別に明示的な投資可能性基準が設けられている。
したがって、
Large+Midで約85%をカバーすること
と、
流動性などの投資可能性を確認すること
は別の工程として考えた方が分かりやすい。
MSCIの指数体系は、単に市場を時価総額順に並べ、上から85%を機械的に採用するものではない。
同様の考え方はMSCIだけに見られるものではない。S&P Developed LargeMidCapも、先進国各市場の浮動株調整後時価総額のおおむね上位85%を対象としている。
6.MSCIは時価総額だけでなく流動性も見ている
MSCI指数への採用は、単純に「時価総額が大きい企業から順番に並べる」だけでは決まらない。
MSCIのGlobal Investable Market Indexesでは、時価総額、浮動株、流動性、外国人投資可能性などについて複数の基準が設けられている。
流動性についてはATVRなどを利用したスクリーニングが行われる。
これはベンチマークの性格を考えるうえで重要である。
仮に時価総額が大きくても、実際にはほとんど売買されていない銘柄を高い比率で指数へ組み入れれば、その指数に連動したポートフォリオを構築することが難しくなる。
MSCIは単純な企業規模だけでなく、国際的な機関投資家が実際に投資できる市場であるかも指数構築の重要な要素としている。
7.浮動株調整とFIF
MSCI Worldなどの主要指数は、単純な時価総額加重ではなく浮動株調整後時価総額を基礎としている。
例えば、ある企業の株式の多くを創業家や政府、親会社などが長期保有し、市場ではほとんど売買されていない場合を考える。
発行済株式すべてをそのまま時価総額として指数へ反映すると、国際投資家が実際に取得できる株式の規模よりも大きく指数へ反映される可能性がある。
MSCIでは、この調整にFIF(Foreign Inclusion Factor)を利用する。
FIFは、国際投資家が公開株式市場で購入可能な発行済株式の割合を表す指標である。
単純なfree floatだけではなく、外国人持株制限なども考慮される。
そのため、
会社全体の時価総額が大きい =その時価総額すべてが指数ウェイトへ反映される
わけではない。
MSCIでは、企業全体の時価総額にFIFを反映した浮動株調整後時価総額を基礎として指数ウェイトを計算する。
また、Global Investable Market Indexesでは原則として一定以上のFIFも投資可能性基準の一つとなっている。
8.なぜMSCI Worldは米国株ばかりなのか
MSCI Worldという名称から、米国、日本、欧州などへある程度均等に配分された指数を想像することもある。
しかし、MSCI Worldは国別均等指数ではない。
基本的には浮動株調整後時価総額によってウェイトが決まる。
2026年9月末時点では、MSCI Worldのうち米国が7割強を占めている。
これはMSCIが、
「米国株は今後上昇すると考えているから米国を多くしよう」
と判断しているわけではない。
先進国の投資可能な株式時価総額の中で、米国企業の占める割合が非常に大きいため、その市場構造が指数にも反映されているのである。
仮に米国の比率がさらに高くなったとしても、通常のMSCI Worldでは「米国が多すぎるから50%まで下げる」といった調整は行わない。
そのような調整をすれば、市場の構造を測る指数ではなく、指数提供会社が望ましいと考える国別資産配分を示す指数になってしまうためである。
したがって、MSCI Worldは世界へ均等に分散する指数ではない。
市場が米国へ集中すれば、MSCI Worldも米国へ集中する。
これは時価総額加重指数の重要な特徴である。
9.MSCI Worldは「儲かる企業を選ぶ指数」ではない
MSCI Worldの目的は、将来値上がりしそうな企業を選ぶことではない。
NVIDIA、Apple、Microsoftなどの企業についてMSCIが将来の業績を予想し、「この会社は有望だからウェイトを増やそう」と判断しているわけではない。
通常のMSCI Worldは、市場の中で一定の投資可能性を満たした大型・中型株を、浮動株調整後時価総額を基礎として指数化している。
そのため、
MSCI Worldに勝った =MSCIの銘柄選択能力に勝った
という意味ではない。
より正確には、
先進国の投資可能な大型・中型株市場の値動きを上回った
という意味になる。
MSCIにはValue、Quality、Momentumなど一定の投資特性を意識した指数も存在するが、通常のMSCI Worldとは目的が異なる。
10.Price・Gross・Netでリターンは変わる
同じMSCI WorldやMSCI Kokusaiでも、リターンの計算方法には複数の種類がある。
特に重要なのがPrice、Gross、Netである。
| 種類 | 配当の扱い |
|---|---|
| Price Return | 配当を含まない |
| Gross Return | 税引前配当を再投資 |
| Net Return | 所定の源泉税を控除した配当を再投資 |
日本語では、Priceを「配当なし」、Grossを「配当込み・税引前」、Netを「配当込み・税引後」などと表現することが多い。
実際にどれくらい差が出るのか
例えばMSCI Kokusaiの円ベースの2025年リターンは次の通りだった。
| リターン種類 | 2025年 |
|---|---|
| Price | +19.03% |
| Net | +20.58% |
| Gross | +21.08% |
同じMSCI Kokusaiでありながら、PriceとGrossでは約2.05ポイントの差が生じている。
2024年についても、
| リターン種類 | 2024年 |
|---|---|
| Price | +31.19% |
| Net | +33.02% |
| Gross | +33.62% |
となっており、PriceとGrossの差は約2.43ポイントだった。
差の大きさは配当利回りや各市場の構成などによって変化するため、「毎年2%違う」と決まっているわけではない。
ただし、長期間になるほど配当再投資の差は複利で積み上がる。
例えば単純化して、株価上昇率が年5%、配当効果が年2%だったとすると、20年間では、
年5% → 約2.65倍
年7% → 約3.87倍
となる。
したがって、ファンドのパフォーマンスをMSCI指数と比較するときは、単に「MSCI World」とだけ確認するのではなく、Price、Gross、Netのどれを使用しているかまで確認する必要がある。
ファンドでは配当収益を受け取っているにもかかわらず、比較対象を配当なしのPrice Indexとすれば、長期間になるほどファンド側が相対的に高く見えやすくなる。
11.「先進国」は世界共通の定義ではない
MSCI Worldは先進国を対象とする指数だが、そもそも何を先進国とするかにも注意が必要である。
「先進国」に世界共通の株式指数上の定義が存在するわけではない。
MSCIは独自のMarket Classification Frameworkを使って各市場を分類している。
主な評価軸は、
Economic Development =経済発展
Size and Liquidity =市場規模・流動性
Market Accessibility =市場へのアクセス可能性
の3つである。
Economic Developmentだけで先進国かどうかが決まるわけではない。
株式市場に十分な規模と流動性があるか、外国人投資家が市場へアクセスできるか、資本の流出入に大きな制約がないか、取引・清算・決済などの市場インフラが整備されているかといった点も評価される。
なお、Economic Developmentの基準はDeveloped Marketへの分類を判断する際に用いられ、Emerging MarketとFrontier Marketを区分する際には用いられない。
そのため、「経済的に豊かな国だからMSCIでも自動的に先進国」という関係ではない。
また、先進国・新興国の分類は指数会社によって完全には一致しない。
MSCIとFTSE Russellなどで一部の市場分類が異なる場合があるため、「先進国株式」という名称だけで投資対象市場が完全に決まるわけではない。
どの指数会社の分類を利用しているかまで確認する必要がある。
12.MSCI以外にもグローバル株式指数はある
グローバル株式のベンチマークはMSCIだけではない。
代表的な指数提供会社には、FTSE Russell、S&P Dow Jones Indices、STOXXなどがある。
| 指数提供会社 | 代表的なグローバル株式指数 |
|---|---|
| MSCI | MSCI World、MSCI ACWI、MSCI Emerging Markets |
| FTSE Russell | FTSE All-World、FTSE Global All Cap |
| S&P Dow Jones Indices | S&P Global BMI |
| STOXX | STOXX Global 1800 |
これらも浮動株調整、流動性、投資可能性などを考慮しながらグローバル株式市場を指数化している。
指数によって市場分類、対象銘柄数、サイズ区分、採用基準などには違いがある。
そのため、「先進国株」「全世界株」といった名称だけでなく、どの指数提供会社の、どの指数系列を採用しているかまで確認する必要がある。
13.アクティブファンドにとってMSCIは何を意味するのか
MSCI Worldなどは、将来有望な企業を選ぶための指数ではない。
アクティブファンドにとっては、自らの運用対象となる市場がどの程度のリターンを上げたのかを測る物差しとして利用される。
同じ投資ユニバースを対象とする投資家全体を考えれば、コスト控除前の加重平均リターンは、原理的にはその投資ユニバース全体のリターンと一致する。MSCI Worldなどの市場指数は、その投資対象市場を表すベンチマークとして利用される。
そのため、アクティブ運用全体が市場平均を大きく上回り続けることは構造的に難しい。
さらに実際のファンドでは、信託報酬などの運用管理費用や売買に伴うコストも発生する。
もちろん、銘柄選択などによって長期的にベンチマークを上回るアクティブファンドも存在する。
ただし、ファンドを評価するときは単に利益が出たかではなく、適切なMSCIなどのベンチマークに対して、どの程度の付加価値を生み出したのかを見ることが重要になる。
14.MSCIベンチマークを見るときに確認したいこと
目論見書、月報、運用報告書などでMSCIの名称を見た場合、指数名だけを見るのではなく、少なくとも次の点を確認したい。
どの地域を対象としているか
MSCI Worldなのか、Kokusaiなのか、ACWIなのかによって対象市場が異なる。
どの指数系列か
Standard、IMI、Small Capなどによって対象となる企業規模が異なる。
Price、Gross、Netのどれか
配当を含むか、源泉税をどのように扱うかによって長期リターンには大きな差が生じる。
どの通貨ベースか
円ベース、米ドルベースなどによって、日本の投資家から見たリターンは異なる。
為替ヘッジを考慮する指数か
同じ株式ポートフォリオでも、為替ヘッジの有無によってリターン特性は変わる。
特にアクティブファンドとの比較では、投資対象地域だけを合わせればよいわけではない。
サイズ系列、配当、税、通貨、為替ヘッジなどの条件まで揃えて初めて、比較対象としての意味が明確になる。
まとめ
MSCI World、MSCI ACWI、MSCI Kokusaiなどは、それぞれ独立した思想で作られた指数ではなく、MSCIが構築するグローバル株式指数体系の一部である。
MSCI Worldは先進国のLarge+Midを対象とするStandard Indexであり、各市場の浮動株調整後時価総額のおおむね85%をカバーする。
指数採用では時価総額だけでなく、流動性や外国人投資可能性なども考慮される。また、FIFによって国際投資家が実際に投資可能な株式部分を指数ウェイトへ反映する。
MSCI Worldで米国比率が高いのも、MSCIが米国株を有望と判断しているためではない。
市場が米国へ集中しているため、その市場構造が指数にも反映されている。
MSCI Worldは「儲かりそうな企業を選ぶ指数」ではなく、一定のルールに基づいて投資可能な先進国株式市場を表現する指数である。
MSCIが広く使われている背景には、長い実績や指数体系の広さに加え、機関投資家や運用会社の間で長年利用されてきたブランド力と業界標準としての地位がある。一方、インデックス運用ではコストなどを理由に別の指数提供会社が選ばれることもある。
ベンチマークを見るときに重要なのは、単に「MSCI World」という名称を確認することではない。
対象地域、サイズ系列、配当の扱い、通貨、為替ヘッジなどまで確認することで、初めてそのベンチマークが何を測っているのかが明確になる。
