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アセマネで使われる主要ベンチマークを整理|MSCI・TOPIX・NOMURA-BPI・Bloombergの違い


資産運用会社のファンドを見るうえで、ベンチマークは重要な存在である。

アクティブファンドであれば、市場平均に対してどの程度の運用成果を上げたのかを測る基準になる。インデックスファンドであれば、どの指数への連動を目指すのかが運用そのものを決める。

ただし、ベンチマークは資産によって主要な指数提供会社が大きく異なる。

  • 日本株ではTOPIX
  • 日本債券ではNOMURA-BPI
  • 外国株式ではMSCI、FTSE Russell、S&P Dow Jones Indices
  • グローバル債券ではBloombergやFTSE Russell
  • 新興国債券ではJ.P. Morgan

の存在感が大きい また、同じ指数名でも「配当なし」「ネット配当込み」「グロス配当込み」によってリターンは異なる。ファンドの運用成果を比較する際には、この違いも重要になる。

本記事では、アセットマネジメント業界でよく使われる主要ベンチマークを資産別に整理し、後半ではベンチマークを見る際の注意点も確認する。

1. まず押さえたい主要ベンチマーク

全体像を先に整理すると、代表的な組み合わせは次のようになる。

資産 主な指数提供者 代表的な指数
世界株式 MSCI MSCI World、MSCI ACWI
新興国株式 MSCI MSCI Emerging Markets
米国株式 S&P Dow Jones Indices S&P 500
米国小型株・スタイル FTSE Russell Russell 2000、Russell 1000 Growth / Value
日本株式 JPX総研 TOPIX
日本株式 日本経済新聞社 日経平均株価
日本株式・スタイル FTSE Russell / NFRC Russell/Nomura 日本株指数
日本債券 NFRC NOMURA-BPI
世界債券 Bloomberg Bloomberg Global Aggregate
世界国債 FTSE Russell FTSE World Government Bond Index
社債・ハイイールド ICE ICE BofA Bond Indices
新興国債券 J.P. Morgan EMBI、GBI-EM
世界REIT FTSE Russell FTSE EPRA Nareit
日本REIT JPX総研 東証REIT指数
コモディティ Bloomberg Bloomberg Commodity Index
コモディティ S&P Dow Jones Indices S&P GSCI

単純に「世界最大の指数会社はどこか」と考えるよりも、どの資産ではどの指数が事実上の標準になっているのかを見る方が実務では分かりやすい。

2. 世界株式ではMSCIの存在感が大きい

世界株式のベンチマークとして最もよく目にする会社の一つがMSCIである。 代表的な指数には次のものがある。

指数 主な対象
MSCI World 先進国株式
MSCI ACWI 先進国+新興国株式
MSCI Kokusai 日本を除く先進国株式
MSCI Emerging Markets 新興国株式
MSCI Japan 日本株式

日本の資産運用業界では特に、外国株式のベンチマークとしてMSCI Kokusaiを見る機会が多い。 MSCIの特徴は、単に世界株指数を提供しているだけではない。同じ体系の中で、地域、国、時価総額、バリュー・グロースといった投資スタイルまで細かく分類できる。 たとえば、MSCI Worldを基準にMSCI World Value、MSCI World Growthといったスタイル指数へ分けることができる。 そのため、アクティブファンドがどの市場や投資スタイルで運用しているのかを整理しやすく、パフォーマンス評価にも使いやすい。

3. 米国株ではS&P 500が代表的

米国大型株を代表する指数がS&P 500である。 S&P Dow Jones Indicesが算出しており、米国を代表する大型株500社で構成される。 米国大型株ファンドでは、「S&P 500に対してどの程度の超過収益を上げたか」という比較が頻繁に行われる。 S&Pには大型株だけでなく、中型株・小型株の指数もある。

指数 対象
S&P 500 米国大型株
S&P MidCap 400 米国中型株
S&P SmallCap 600 米国小型株

米国株全体を一つの市場として見るだけでなく、企業規模別に運用成果を測定できる。 一方、機関投資家のスタイル分析ではRussell指数も重要である。

4. FTSE Russellは米国株のサイズ・スタイル分析で重要

FTSE Russellには、大きくFTSE系とRussell系の指数がある。 特に米国株ではRussell指数の存在感が大きい。

指数 対象
Russell 3000 米国株式市場全体
Russell 1000 米国大型・中型株
Russell 2000 米国小型株
Russell 1000 Growth 大型・中型グロース株
Russell 1000 Value 大型・中型バリュー株
Russell 2000 Growth 小型グロース株
Russell 2000 Value 小型バリュー株

たとえば米国小型株ファンドの運用成果をS&P 500と比較すると、投資対象そのものが大きく異なる。 この場合はRussell 2000など、より近い市場を表す指数を使う方が自然である。 ベンチマークを見る際には、単に有名な指数かどうかではなく、ファンドの実際の投資対象と指数の構成が合っているかを見る必要がある。

5. 日本株ではTOPIXが重要。日経平均との違いは何か

日本株の代表的な指数としては、TOPIXと日経平均株価がある。 個人投資家や一般のニュースでは日経平均の知名度が非常に高い。一方、資産運用会社や機関投資家のベンチマークとしてはTOPIXの重要性が高い。

TOPIXは、日本株市場を広くカバーする浮動株時価総額加重型の指数である。 企業の市場価値をベースに構成比率が決まるため、日本株市場全体の値動きを捉えるベンチマークとして使いやすい。

一方、日経平均株価は日本を代表する225銘柄で構成される株価平均型指数である。 日経平均株価は株価平均型指数であり、各銘柄の株価に株価換算係数を反映した採用株価をもとに算出される。そのため、時価総額加重型のTOPIXとは異なり、基本的には採用株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きくなりやすい。

そのため、日本株市場全体に対するアクティブ運用の成果を評価する場合には、TOPIX配当込みが比較対象として使われることが多い。ただし、日経平均がベンチマークとして不適切という意味ではない。日経平均への連動を目指すインデックスファンドやETFも数多く存在する。また、日本株市場の代表的な指標として長い歴史と高い知名度を持つ。

つまり、 日本株市場全体を広く捉えるベンチマークとしてはTOPIXが使われやすく、日経平均は225銘柄からなる代表指数として重要 という違いである。

なお、TOPIXは市場区分改革などに合わせて構成方法の見直しが進められており、2026年10月からは次世代TOPIXへの移行も始まっている。ベンチマークは一度決まれば永久に同じというものではなく、市場構造の変化に合わせて指数側も変化していく。

6. 日本株のスタイル分析ではRussell/Nomuraも重要

日本株を大型・小型、バリュー・グロースなどに分けて分析する場合には、Russell/Nomura日本株インデックスも使われる。現在は、FTSE Russellと野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング(NFRC)が共同で運営する指数体系である。 TOPIXが「日本株市場全体」の基準として使いやすいのに対して、Russell/Nomuraは、どのようなスタイルの日本株運用なのかを分析する用途に適している。 個人投資家にはTOPIXや日経平均ほど馴染みがないものの、機関投資家やアセットマネジメント業界では重要な指数群である。

7. 日本債券ではNOMURA-BPIが代表的

日本債券市場で重要なのがNOMURA-BPIである。 現在は野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング(NFRC)が指数事業を担っている。 中でもNOMURA-BPI総合は、国内債券運用を代表するベンチマークである。 対象には国債だけでなく、地方債、政府保証債、金融債、事業債などが含まれる。 そのため、単なる「日本国債指数」ではなく、日本国内で発行された公募固定利付債券の流通市場を広く捉える指数と考えた方がよい。 日本の伝統的な4資産運用で整理すると、国内株式はTOPIX、国内債券はNOMURA-BPIという組み合わせが典型的である。

8. 世界債券ではBloomberg Global Aggregate

グローバル債券市場ではBloombergの存在感が大きい。 代表的な指数がBloomberg Global Aggregate Bond Indexである。 一般に「Global Agg」「グローバル・アグ」などとも呼ばれる。 この指数は国債だけではなく、政府関連債、社債、証券化商品など、世界の投資適格債券市場を幅広く対象とする。 したがって、世界の投資適格債券市場全体を測るベンチマークとして使いやすい。 米国債券では、Bloomberg US Aggregate Bond Indexも代表的な指数である。 株式でMSCI Worldを見るのと同じように、債券ではBloomberg Aggregate系の指数を頻繁に目にする。

9. 世界国債ではFTSE WGBI

世界債券すべてではなく、国債に限定した場合に重要なのがFTSE World Government Bond Index、通称WGBIである。

WGBIは、20カ国超の固定利付・現地通貨建て・投資適格国債を対象とする。 Bloomberg Global Aggregateとの違いは明確である。 Bloomberg Global Aggregateは国債、社債、証券化商品などを含む。 一方、FTSE WGBIは国債を中心とする。 日本の外国債券インデックスファンドでは、FTSE世界国債インデックス(除く日本)をベンチマークとする商品も多い。 同じ「外国債券ファンド」でも、Global Aggregate型とWGBI型では投資対象が異なる点には注意が必要である。

10. 社債・ハイイールドではICE BofA

社債やハイイールド債ではICE BofA指数を目にする機会が多い。 これは以前、Merrill Lynch系の債券指数として知られていた指数群である。 代表的な対象には、投資適格社債、ハイイールド債、グローバル社債、優先証券などがある。 特にハイイールド債ファンドの月報を見ると、ICE BofAの指数がベンチマークや参考指数として設定されていることがある。 ただし、ICEの固定利付指数は社債やハイイールドだけに限らない。国債、投資適格債、証券化商品、新興国債券など幅広い指数群を提供している。 そのうえで代表的な棲み分けとして見ると、世界債券全体ではBloomberg、世界国債ではFTSE Russell、社債・ハイイールドではICE BofAという整理がしやすい。 もちろん、実際には多くの例外がある。

11. 新興国債券ではJ.P. Morgan

新興国債券ではJ.P. Morganの指数が重要である。 代表的なのがEMBIとGBI-EMである。

11.1 EMBI

EMBIは、新興国政府などが発行する外貨建て債券を中心とする指数である。 たとえばブラジル政府が米ドル建てで発行した債券などが対象になる。

11.2 GBI-EM

GBI-EMは、新興国の現地通貨建て国債を対象とする。 ブラジルであればブラジルレアル建て国債などが対象になる。 そのため、外貨建て新興国債券ではEMBI系、現地通貨建て新興国国債ではGBI-EM系と考えると分かりやすい。

同じ新興国債券でも、為替リスクや金利リスクの性質は大きく異なる。

12. REITではFTSE EPRA Nareit

グローバルREITではFTSE EPRA Nareitの指数群が代表的である。 世界の上場不動産会社やREITを対象としており、グローバルREITファンドのベンチマークとしてよく使われる。 日本のREITでは東証REIT指数が代表的である。 REITについても、世界REITはFTSE EPRA Nareit、日本REITは東証REIT指数という整理ができる。

13. コモディティではBloombergとS&P

コモディティ指数では、Bloomberg Commodity IndexとS&P GSCIが代表的である。 どちらも商品市場を対象とするが、指数設計は同じではない。 S&P GSCIは世界の生産量などを基礎にウェイトを設定するため、エネルギーの比率が高くなりやすい。 一方、Bloomberg Commodity Indexは流動性や生産量を考慮しながら、特定の商品や商品グループへの集中を抑える仕組みを持つ。 したがって、どちらも「総合商品指数」であっても値動きは一致しない。 ベンチマークの名称だけではなく、何をどの割合で組み入れている指数なのかを見ることが重要である。

14. 指数会社の単純な世界シェア比較は難しい

指数会社の規模については、「MSCIとS&Pではどちらのシェアが大きいのか」といった比較をしたくなる。 ただし、単純比較には注意が必要である。 指数会社が公表する数字には、インデックス運用として実際に連動している資産、アクティブ運用のベンチマークとして利用されている資産、ETFだけを対象とした数字、投資信託や機関投資家口座まで含んだ数字などが混在する。 そのため、指数に連動・ベンチマークする資産額を指数会社ごとに横並びにして市場シェアを計算しても、必ずしも同じ条件の比較にはならない。 実務では、会社単位のシェアよりも、資産クラスごとの存在感を見る方が有用である。

15. 資産別に見ると「定番」がある

主要なベンチマークを改めて整理すると、次のようになる。

資産 代表的なベンチマーク
世界株式 MSCI World、MSCI ACWI
外国株式 MSCI Kokusai
米国大型株 S&P 500
米国小型株 Russell 2000
日本株 TOPIX、日経平均株価
日本株スタイル Russell/Nomura
日本債券 NOMURA-BPI
世界投資適格債券 Bloomberg Global Aggregate
世界国債 FTSE WGBI
社債・ハイイールド ICE BofA
新興国外貨建て債券 J.P. Morgan EMBI
新興国現地通貨債券 J.P. Morgan GBI-EM
世界REIT FTSE EPRA Nareit
日本REIT 東証REIT指数
コモディティ Bloomberg Commodity、S&P GSCI

こうして見ると、指数市場は一社がすべてを支配しているわけではない。

世界株式ではMSCI、米国大型株ではS&P、日本株ではTOPIX、日本債券ではNOMURA-BPI、世界債券ではBloomberg、世界国債ではFTSE、新興国債券ではJ.P. Morganというように、資産ごとに強い指数が異なる。

16. 株式指数は「配当なし・ネット・グロス」でも結果が変わる

株式ベンチマークを見る際には、指数名だけでなく、配当をどのように扱っている指数なのかも確認する必要がある。

同じMSCI WorldやTOPIXでも、配当の扱いによってリターンは異なる。

大きく分けると、次の3種類がある。

種類 配当の扱い
配当なし(Price Return) 株価変動のみを反映
ネット配当込み(Net Total Return) 配当から一定の源泉税を差し引いて再投資
グロス配当込み(Gross Total Return) 配当を税引前で再投資

収益率の関係を単純化すると、

グロス配当込み > ネット配当込み ≫ 配当なし

となることが多い。

「≫」は厳密な数式ではなく、一般にグロスとネットの差よりも、配当込みと配当なしの差の方が大きくなりやすいことを視覚的に示したものである。

16.1 配当なし指数は配当収益を含まない

配当なし指数は、株価の値動きだけを反映する。 企業が配当を支払っても、その収益は指数のリターンには加算されない。 一方、実際の株式運用では配当もファンドの収益になる。 そのため、ファンドの基準価額が配当収益を含んでいるのに、比較対象だけが配当なし指数であれば、条件がそろっていない。 たとえば配当利回りが年間2%程度であれば、他の条件を単純化すると、1年間では配当なし指数と配当込み指数のリターンにおおむね2%程度の差が生じ得る。 さらに長期では、受け取った配当を再投資する効果も積み重なる。 そのため、10年、20年といった長期になるほど、配当なし指数と配当込み指数の累積リターンには大きな差が生じる。 かつて国内公募投資信託では、外国株式ファンドなどで配当なし指数をベンチマークとして表示する商品も見られた。 一方、現在では配当込み指数を採用する商品も多く、外国株式ではネット配当込み指数が使われる例も多い。 ファンドの運用成績を見る際には、単に「MSCI Worldと比較している」と確認するだけでは足りない。 MSCI Worldの配当なしなのか、ネット配当込みなのか、グロス配当込みなのかまで確認する必要がある。

16.2 ネット配当込みは源泉税を差し引く

ネット配当込み指数は、企業から支払われる配当について、一定の源泉税を差し引いた後の金額を再投資したと仮定する指数である。 外国株式では、配当を受け取る際に現地で源泉税が課されることがある。 そのため、税引前の配当をそのまま受け取れると仮定するグロス配当込み指数よりも、ネット配当込み指数の方がリターンは低くなる。 ただし、配当なし指数との差に比べれば、ネットとグロスの差は通常かなり小さい。 理由は単純である。配当なし指数と配当込み指数の差は「配当そのもの」であるのに対し、ネットとグロスの差は「その配当にかかる税金部分」だからである。 たとえば配当利回りが2%の場合、配当なし指数はその2%程度の配当収益を含まない。 一方、ネットとグロスの差は、その2%の配当に対して課される源泉税部分である。 したがって、ベンチマーク比較でまず大きく影響するのは、配当を含んでいるかどうかである。 その次に、ネットかグロスかを見ると分かりやすい。

16.3 グロス配当込みは税引前の配当をすべて再投資する

グロス配当込み指数は、企業が支払った配当を税引前のまま受け取り、その全額を再投資したと仮定する。 そのため、3種類の中ではリターンが最も高くなりやすい。 ただし、外国株式に投資する実際のファンドでは、配当を完全に税引前で受け取れるとは限らない。 現地で源泉税が課される場合には、実際のファンドが受け取る税引後配当額は、グロス指数で想定される税引前配当額を下回る。

16.4 実際の配当課税はネット指数と一致するとは限らない

ネット配当込み指数も、実際のファンドが負担する税金を完全に再現しているわけではない。 MSCIの国際Net Total Return指数では、原則として、租税条約の恩恵を受けない非居住の機関投資家に適用される源泉税率を用いて計算する。 一方、実際の日本の公募投資信託では、投資対象国、租税条約、ファンドの法的形態、投資方法などによって、実際に適用される税率が異なる場合がある。 そのため、配当に対する税負担だけに注目すると、日本の公募投資信託が実際に受け取る税引後配当が、MSCIのネット配当込み指数で想定される配当より多く、グロス配当込み指数より少なくなる場合がある。 ただし、これはファンド全体のリターンが必ずネット指数とグロス指数の間になるという意味ではない。 実際のファンドには、信託報酬、売買コスト、キャッシュ保有、トラッキングエラーなどもあるため、ファンド全体のリターンはネット指数を下回ることもある。

重要なのは、 ネット指数=実ファンドが実際に負担した税金を完全に再現した指数 ではないという点である。

MSCIのネット配当込み指数も、日本の各公募投資信託が実際に負担する税率を個別に再現したものではない。

16.5 GIPSではベンチマークとの比較条件も重要

GIPS(Global Investment Performance Standards)のような運用会社によるパフォーマンス提示の基準では、運用実績をベンチマークに対して有利に見せないよう、比較条件を適切にそろえることが重要になる。 国際株式指数には、源泉税控除前のグロス配当込み指数と、一定の源泉税を控除したネット配当込み指数が用意されている場合がある。 GIPSでは、どちらか一方を常に使うよう求めているわけではなく、ポートフォリオ側で源泉税をどのように扱っているかと整合するベンチマークを用いることが重要になる。 そのため、比較条件を適切かつ保守的にそろえる観点から、評価条件によってはグロス配当込み指数が使われることもある。

重要なのは、 「グロス指数の方が正しい」「ネット指数の方が正しい」ということではなく、ポートフォリオとベンチマークの条件をそろえ、一方だけが有利になる比較を避けることである。

なお、「グロス配当込み」と「グロス・オブ・フィー」は別の概念である。前者は配当に対する源泉税を控除する前か後か、後者は運用報酬を控除する前か後かを表しており、区別して考える必要がある。

17. ベンチマークはファンド評価の前提になる

ベンチマークを見る意味は、単に指数の名前を覚えることではない。 重要なのは、そのファンドが何を運用しているのかを正しく把握し、それに対応する市場と比較することである。 米国小型株ファンドをS&P 500と比較しても、運用能力を正確に測ることは難しい。 日本のバリュー株ファンドをTOPIXだけと比較すると、市場全体に対する成績は分かっても、同じバリュースタイルの中で優れていたのかまでは分からない。 債券でも、世界国債ファンドをGlobal Aggregateと比較すれば、社債を含む指数との違いが運用成果に表れる。 さらに株式では、配当なしなのか、ネット配当込みなのか、グロス配当込みなのかという違いもある。 同じMSCI Worldという名称でも、この違いだけでリターンは変わる。 特に長期では、配当なしと配当込みの差は無視できない。 ファンドのパフォーマンスを見るときは、「何%上がったか」だけではなく、「どのベンチマークに対して、どの程度上回ったのか」まで確認する必要がある。 そして、その比較が妥当かどうかを判断するためには、投資対象、指数の構成、配当の扱いまで確認する必要がある。 ベンチマークはファンド評価の脇役ではなく、運用成果を読み解くための基準そのものである。

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